黄昏の碑文
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プロローグ
夕暮竜を求めて旅立ちし影持つ者、未だ帰らず ダックの竈(かまど)鳴動し、闇(ダック)の女王ヘルバ、ついに挙兵す 光(リョース)の王アペイロン、呼応して両者、虹のたもとにまみゆ 共に戦うは忌まわしき“波” アルバの湖煮え立ちリョースの大樹、倒る すべての力、アルケ・ケルンの神殿に滴となり影を持たざるものの世、虚無に帰す 夕暮竜を求めて旅立ちし影持つ者、永久に帰らず
碑文の断片00
“波”に蹂躙されし麦畑に背を向けて影持つ娘のつぶやける “きっと、きっと帰るゆえ” されど、娘は知らざるなり 旅路の果てに待つ真実を、彼女らの地の常しえに喪われしを
碑文の断片01
指が月を示しとき愚かなる者指先を見ん
碑文の断片02
系の改変、能(あた)わず 我ら、その機会をすでに失してあり 残されし刻の、あまりに少なきゆえに 我ら道を過てり 今にして思う 我らが成すべきは、系の変更にあらず個の変化なりしかと
碑文の断片03
天を摩す“波”視界を覆いて余りあり。 遍在する力に抗すべくもなく、影なきものたち、ただ嘆息す。 なにゆえに“波”なるか。 せめて波涛のひとつともあれば一矢報いんものを
碑文の断片04
竜骨山脈を越えしおり 一同、人語を解する猿に出会う。 その猿の問うていわく、 “汝につきまとうものあり? そのもの、およそ汝には耐えがたく受け入れがたきものなり。 されど、汝とは不可分のそのものの名を唱(とな)えよ” と
フィドヘルの予言
蒼ざめた馬の疾駆するがごとくに見えざる疫病の風、境界を超えゆく。 阿鼻叫喚、慟哭の声、修羅、巷に溢るる。 逃れうるすべなく、喪われしものの還ることあらざる。 時の流れは不可逆なればなり
ワイズマンからのメール(碑文の一部)
禍々しき波の何処に生ぜしかを知らず。 星辰の巡りめぐりて後(のち)東の空昏(くら)く大気に悲しみ満ちるとき 分かつ森の果て、定命の者の地より、波来(きた)る先駆けあり 行く手を疾駆するはスケィス 死の影をもちて、阻みしものを掃討す 惑乱の蜃気楼たるイニス 偽りの光景にて見るものを欺き、波を助く 天を摩す波、その頭(かしら)にて砕け、滴り、新たなる波の現出す こはメイガスの力なり 波の訪(おと)なう所 希望の光失(う)せ、憂いと諦観の支配す 暗き未来を語りし者フィドヘルの技なるかな 禍々しき波に呑まれしとき策をめぐらすはゴレ 甘き罠にて懐柔せしはマハ 波、猖獗(しょうけつ)を極め、逃(のが)れうるものなし 仮令(たとい)逃れたに思えどもタルヴォス在りき いやまさる過酷さにてその者を滅す そは返報の激烈さなり かくて、波の背に残るは虚無のみ 虚ろなる闇の奥よりコルベニク来(きた)るとなむ されば波とても、そが先駆けなるか
黄昏の碑文(ミアの言葉)
七姉妹のプレアド、人に恋せしゆえに、 影持つ身となり、ダックを追放さる。 もって、堕ちたるプレアドと呼ばるなむ。 流浪の果て、アルケ・ハオカーに隠栖す。 されど、その日々、つづかず。 再会のありやなしや。 プレアドの姿消え、波の先駆け来たる。